釜山・北区に眠る歴史:亀浦(クポ)倭城を訪ねて
釜山の北区、洛東江(ナクトンガン)を眼下に見下ろす高台に、歴史の重なりを感じさせる「亀浦倭城」があります 。「倭城(わじょう)」とは、16世紀末の文禄・慶長の役の際、朝鮮半島に進出した日本軍によって築かれた城郭のことです。 現在は穏やかな公園として親しまれていますが、一歩足を踏み入れると、400年前の息吹が今も石垣の間に息づいています 。

現地に設置されている解説板によると、この城は1593年に築かれました 。西側に流れる洛東江を天然の堀とし、近隣の拠点と船で行き来できる「水上交通と情報伝達の要衝」として機能していました 。螺旋状に積み上げられた石壁は、当時の設計思想を今に伝えています 。
また、この場所にはさらに古い時代の英雄伝説も眠っています 。地元では「義城(ぎじょう)」という別名でも呼ばれていますが、これは6世紀の新羅時代、黄金龍という名の将軍がこの地を守るために勇敢に戦ったという伝説に由来します 。一つの場所に異なる時代の物語が重なっている点が、この地の大きな魅力です 。
実際に目にすることのできる石垣は、荒々しくも力強い「野面積み(のづらづみ)」の佇まいが特徴です 。かつては緊張感漂う要塞でしたが、今は苔むした石垣の周りを地元の人々が散歩し、子供たちが遊ぶ平和な光景が広がっています 。
日韓の歴史には、葛藤の時代もあれば、江戸時代の「朝鮮通信使」のような深い文化的交流の時代もありました 。この亀浦倭城も、そうした長い交流史の一断面です 。過去の遺構を大切に保存し、共に訪れることで、私たちは新しい未来への対話の一歩を踏み出すことができます 。頂上から眺める洛東江の美しいパノラマは、時代が変わっても変わることなく、訪れる人の心を癒してくれます 。
出典:
・한국민족문화대백과사전 https://encykorea.aks.ac.kr/Article/E0006095
・부산역사문화대전 구포왜성(龜浦倭城) – 부산역사문화대전
記事協力:アサディ・アルミタ
写真提供:ハム・テファン
